退屈しのぎの好奇心

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第1章~ワイシャツの中身~

セックスをしたからと言って、慧に惚れたわけでも、男同士に目覚めたわけでもなく、慧といる時にセックスをする事が当たり前になっただけで、お互いの気持ちに変化が起きたわけじゃない。

それでも、この快楽は他の何にも変えられないもので、2人きりになれる機会を狙うようにはなってしまった。


学校で2人きりになると互いを欲して落ち着けない。

ある時は体育倉庫で鉢合わせし、他の生徒が来ない事をわかりきって、唇を貪り合うこともあった。

その日はサッカーの授業で、砂と汗の混じった味がした。

慧は抵抗することなく突っ立ったまま俺の舌を懸命に受け入れていた。

まるで木偶の坊だけれど、時間になると舌を甘く噛んできて「もう行くぞ」と知らせた。


あの日、キスだけじゃ足りなかった。

もっと奥深くに自分を埋め込んで慧を堪能したかった。

単純にハマったんだ、特に意味もない、あの退屈しのぎの時間に。


「今日あちーな、クーラーつけるか」

「うん」


俺を部屋に招いた慧はどこか落ち着きなく、無駄に感じる程の距離を取って此方をなるべく見ないようにしている。


「緊張してんの?」


そう声を掛けると空気が凍りついた。

固まった身体を緩ませるようにため息をついた慧は眉を顰めて振り返り、言った。


「バカにすんなよ…」


そんなつもりはなかったのだけど、微妙に取られた距離を詰めると、への字に曲げた唇に自分の唇を押し付けてベッドに押し倒した。


エアコンの通風口から流れ始めた静かな風音を背中に感じながら、慧と舌を絡ませあった。

ねっとりと唾液を纏わり付かせれば、くちゃくちゃと音が立つ。

その音に慧は身体を震わせていた。

だからわざと音を立て、口の周りを唾液でベタベタにしてしまう。


女の子なら嫌がるようなキスも、慧は気にせず受け入れ、寧ろもっとと強請ってくるのだから自分自身も快楽に身を委ねやすかった。


「ん…む…っ、はぁ……凪…っ」


こいつが男であることなんて気にもならないくらい気持ちよくて、薄く開いた目に映り込む慧の熱っぽい虚ろな目には色気があった。

自分が男に興奮させられるなんて思いもしなかったけれど、深くは考えない。


退屈しのぎに始めたこの行為がただ楽しかっただけなんだと、そういうことなんだと、解釈していたから。


「名前呼ぶなよ……、恋人じゃねーんだから」

「……はぁ?意味わかんねー…お前こそ呼ぶだろ…」

「俺はいーんだよ、抱いてる側だから」

「んだそれっ……!んぁッ、あ…ッ」


血の気が滾り硬くなった肉の塊が慧の肉壺に喰われていく。

奥へ進めながら慧の表情を伺った。

眉間にしわを寄せ、瞼を強く閉ざしている。


俺は女としてる時に近い快楽を得ているけど、お前はどうなの?

そっち側の感情は興味深いけれど、形勢逆転する気にはなれない。

退屈しのぎに痛いことはさすがにしたくねーから。