青春グリッター

文字サイズ:

スラッとした長い脚に、程よい筋肉質の身体、そして端正な顔立ちに優しい笑顔。

そんな彼にときめく女の子は数知れず。


「もっと強くついてボールの速度あげないと、スティールされちゃうよ?」


毎日のようにドリブル練習を励んでいた私に、彼がアドバイスをくれた。

彼は男子バスケットボール部のエースで沢山の女の子にいっつも囲まれているから、同級生なのに遠い存在の人だった。


「森田さんさ、シュートフォームすげぇ綺麗だよね。俺はドリブル教えてあげるから、森田さんは俺にシュート教えてよ」


それなのに、彼のそんな提案から部活が終わった後に近所の公園で練習をすることになった。

ふたりっきりで黄色い声援を送る女の子もいない場所で。

バスケットボールを返す時、私の手に彼の手が重なった。


「もう気づいてるかもしんないけどさ……」

「……え?」

「俺、森田さんのことが好きなんだ」


生まれて初めての告白に動揺しながらも、「私も好き」と首を縦に振った。

夢を見ているようで、でも夢じゃないと、乾いた唇がお互いの吐息で湿ったことで実感した。


冬の寒い暗い夜の出来事。


ただシュートを決めるのが楽しくて始めたバスケが、この人と出会う為のものだったんだと運命的なものに感じてる。

何度も唇を重ねて恋人としての自覚も芽生え、明日から彼を独り占め出来るんじゃないかって期待していた。


だけど、やっぱり彼はモテる人だった……。


隣のコートが黄色い声援で盛り上がっているのを気にしないようにバスケットボールを弾ませた。

体勢を低くしてドリブルを強くつく。

そんな練習をしていれば、イライラすることもない。


「人のモンになっても、あんたの彼氏は人気ねー。今日もすごいギャラリーの数」


それなのに、部活の先輩が隣のコートの様子を逐一報告してくる。


「……へぇ、そうなんですか。練習に集中してて隣なんて気にしていませんでした」

「いいの~?なんか、女の子に差し入れ貰ってるみたいだけど」

「……っ、知りませんってば!」


ボールを2、3回強く弾ませて私は先輩から離れた場所に移動した。

私、森田菜子は女子バスケットボール部の部員の一人。

そして、私が見ないようにしていた隣のコートには男子バスケットボール部に所属している彼氏の篠崎ヒロトがいる。


――“女の子から差し入れ貰ってるみたいだけど”

先ほどの言葉が気になって私はつい振り返ってしまった。


真剣にゴールを目指す眼差しが目に入った。

あまりにもカッコよすぎて、胸が詰まりそうになる。

あのカッコいい人は私の彼氏。

なのに、彼女は私だってみんな知ってるはずなのに、そんなの構わず女の子が応援に来ていて嫌になる。