青春グリッター

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「せめて、もっとバスケが上手くなれればな……」


ヒロトに負けないくらいバスケが上手くなれば、みんなに彼女として認められるかもしれない。

私じゃなきゃ彼の恋人は務まらないってくらいになりたかった。

私はドリブルが苦手で個人練習の時はそればっかりしてた。

すぐに奪われちゃうから悔しくて。

私がドリブルの練習をしていると先輩がスティールしに来た。


「ちゃんと奪われないようにしなさい」

「わかってますよ!」


ボールを獲られないように腰を屈めようとしたら足が滑った。


「あ……ッ!」

「キャーッ!菜子!!」


状態を崩してしまった私はバスケットボールに膝を乗っけてしまい、そのまま転がり落ちてしまった。


「菜子ッ!」


名前を呼ばれたと同時に黄色い声援がピタッと止んで、見上げるとヒロトがいた。


「俺が彼女を保健室連れて行きます」

「……っ」


ヒロトは軽々と私を持ち上げた。

私は保健室までヒロトにお姫様抱っこで運ばれた。

ここに辿りつくまでの間に心臓がどうにかなってしまうかと思った。

「変なこけ方したな、足首の捻挫に腰の打ち身ってとこか」
「痛い……し、かっこ悪い……ね」


現在応急手当中。
保健室の先生はもう帰っちゃったみたいで誰もいない。

「かっこ悪くねぇよ、一生懸命ドリブル練習してる菜子、可愛いし……」
「……っ」

ジャージの裾を捲くられて足首の痣が露になった。
痛々しい紫色の痣をヒロトがそっと撫で上げる。

「痛そうだな……」
「ん、でも平気だよ……」

ヒロトの長い繊細なまつげが目に入った。
私はヒロトみたいに男の子に騒がれたりしないし、特出したものもないのに。
ああ、やっぱり釣り合わないのかなって不安になる。

「菜子……、どした?」
「え、……別になにもないけど」
「嘘だろ、ちゃんと言えって」

私の曇った表情にすぐ気がついてくれるヒロト。
申し訳ないけど、ちゃんと言ったってどうにかなることじゃない。