青春グリッター

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何事もなかったかのように振る舞って、私たちは体育館に戻った。


私は捻挫したから今日はこのまま着替えて帰るつもりだけど、ヒロトはそのまま部活に戻るみたい。

取り巻きの女の子たちは相変わらず残っていた。

ヒロトが戻ってきて嬉しそうに声をあげて、また、嫌な不安に飲み込まれそうになる。


さっき、あんなに愛し合ったんだもん。

あの子たちにキャーキャー言われてようがなんだろうが、ヒロトは私が好きなんだから。


「菜子~、気になるならヒロトくんを待っててあげたら?」


痛めた足を引きずりながら更衣室に向かおうとすると、先輩に呼びかけられた。

本当にこの人はお節介を焼くのが好きな人だ。


「待っていたいけど……」


ああやって女の子に騒がれているところを見たくなかった。

せっかく幸せだって満たされてたのに嫌な気分になりたくないし。


「ああいうの嫌だったら言えばいいのに」

「……だって」


言ってみたらヒロトは話を流したんだもん。

結局、我慢するなんて思ってても実際に女の子に囲まれているところを見てしまうとやっぱり嫌な気持ちになってしまってた。


だって好きだから。

触れ合う度に、愛し合う度にその思いは強くなって、苦しくなってしまう。


ヒロトは部活に戻ってさっきと同じ様になんども練習を重ね、シュートを何度も決めた。

その度に湧きあがる歓声に、私の存在はまた薄くなっていくような気さえする。

私が女子バスケ部のうちはあそこの場所に居座ることは出来ない。

でも、ヒロトを一番応援してるのは私なんだから。


「ヒロト~ッ!かっこよかったよ!」


女子バスケ部の休憩席から思いっきり声を張り上げた。

隣にいた先輩が驚いてたけど、そんなことはどうでもいい。


「ありがと、菜子」


どんな女の子の声援よりも嬉しそうにして、キラッキラの笑顔を見せてくれる。

ヒロトが一番応援してもらいたいのだって絶対私なんだから。


「何今の~、超バカップル」

「うるさいですよ、先輩っ」


その後、更衣室で服を着替えに行ったから知らなかったけど、先輩の話によるとヒロトが女の子達の差し入れを断っていたらしい。

話を流されちゃってたと思ってたけど、わかってくれてたんだ。

誰よりも眩しくて魅力的な彼はやっぱり人気者のまま。


一等星みたいにすぐに見つけることが出来るくらいの輝きを持った人だから仕方ないんだよね。

私も――彼が見失ったりしないように輝いていたいな。 


END